金属加工の現場では、切削工具の摩耗がコスト低減の問題点や改善テーマとしてよく上がっています。そもそも切削工具は、加工するワークの材質や加工内容に対し、加工精度と切削工具の耐摩耗性をベースに選定しています。
しかし、実際の加工現場では様々な要因から想定していた切削工具の能力を発揮できないことは多く、切削工具の摩耗や寿命についても例外ではありません。
刃物選定時に算出した耐久性では持たなかったために、交換費用・刃物代・不良の発生が起きている。
原因は様々ありますが、恐らく下記であると考えられます。
これら①~②が原因だとすると皆さまは技術的なアプローチから様々な改善点を見出そうとするはずです。
ただ、その観点から考えるとワーク毎にプログラムを変更しワークが変われば都度ベストなアプローチを考えなければいけません。
もっと基本的な効果のある改善はないのでしょうか?実は盲点ですが、非常に重要になるのがクーラント液との関係性です。
刃具の寿命や摩耗の原因は、
も要因のひとつだからです。
浮上油と微細スラッジをクーラントポンプが吸込み、フィルターを目詰まりさせることでクーラント液の使用量を低下させ、従来の冷却・潤滑効果が発揮されていない状態です。そのせいで、刃物への負荷が増え摩耗しやすくなっていると考えられます。
もう一つは、微細スラッジをポンプが吸込み、フィルターを通過した物が刃物やワークに掛かり、異常摩耗を促進させていると考えられます。また、浮上油によりバクテリアが大量発生した切削液はPH値が低下し腐敗します。
クーラント液は加工時に切削工具とワークの接地面に直接かけ、冷却性と潤滑性、切り屑除去などの効果をもたらし、切削工具寿命の要素に大きく影響します。つまり技術的な改善アプローチを進めるにしても、クーラント液の品質が安定していないと、不安定な結果となる可能性があります。
クーラント液の品質はどのように管理していけばよいでしょうか?考えられる解決策は、下記等があります。
以上を行えば、現状の問題は改善されると考えられます。
重要なのは、クーラントタンクに混入した異物をできるだけ早く除去していくことです。
※異物:機械の摺動油やワークに付着した油が混入することによる浮上油や、加工時にでる切り屑・スラッジなど
これらの可能性を異物除去で無くしていくことが、刃物・チップ摩耗改善で重要な項目の一つと言えます。
切削液が正常な状態を保つことにより、本来の冷却性・潤滑性を加工にもたらします。腐敗臭が減少し、液を長寿命化します。
以上のことから、刃物やチップなど切削工具の摩耗低減、改善を進めるためには、日常的なクーラントの清浄化、効果的な異物除去の環境を作り出すことが重要です。技術的なアプローチであれこれ時間をかけて悩むより、すべての加工に対して最も効果的に改善する手段になります。案外、現在の刃具の本来の加工性能に驚かれるかもしれません。
エコイット 浮遊物・浮上油回収装置にて、タンクに発生する異物を手軽に回収可能です。
エアー供給があれば半永久的に自動で浮上油や浮遊スラッジを回収いたします。人手は掛からないため、まずは特に刃物・チップ摩耗が気になる工作機械のタンクに設置し、検証を行っていただく事はいかがでしょうか?
また、沈殿スラッジも発生している場合、スラッジ回収装置も併せての活用をおすすめ致します。
しかしながら、一度腐敗したクーラント液を清浄に戻すことはできません。
また、エマルション化が進みすぎている場合には油水分離できない可能性があります。そのような状態は、クーラント液自体が劣化しすぎている場合ですので新液へ交換したタイミングで装置の稼働もスタートする事をお勧めいたします。
■他にもこんなトラブルを抱えていませんか??
刃物・チップの摩耗を抑えたい | 悪臭を抑えたい | 面粗度が悪くなり刃物を頻繁に交換している |
錆が発生する | タンクの清掃が大変だ | ワークフィルターの目詰まり等で機械を止めたくない |